数~十数cm単位で場所を特定できるGNSS受信機「mosaic-go CLAS」を使ってみた

数~十数cm単位で場所を特定できるGNSS受信機「mosaic-go CLAS」で遊んだ時のメモです。 GNSS初心者が書いているので間違いがあるかもしれません。



全体的な感想

初めて購入したGNSS受信機だったけど、とても良かった。一部を除いてハマるポイントもなく、WebUIで状況を把握しやすい。ROS2用ドライバも公式サポートでいい感じ。

mosaic-go CLAS のいいところ

  • 受信機にアンテナとUSBケーブルをつないで、ブラウザでアクセスするだけで測位や設定ができる手軽さ。(Windowsの場合は、事前にドライバインストールも必要)
  • コンパクトな受信機なのにLinux搭載で、各種サーバー機能やクライアント機能がある。
  • 公式でROS2用ドライバをサポート。apt installでインストールできる。履歴を見る限りではメンテナンスもバッチリ。
  • CQ出版社でも紹介されてて初心者に安心。
  • ケースに入っているので扱いやすい
  • 受信機とPCをUSBで接続すると、Windows用ドライバが入ったドライブがマウントされる。
  • デフォルト設定から変更した内容を差分表示できる

mosaic-go CLAS のイマイチなところ

  • 公式の情報は充実しているものの、ユーザーによる情報が少ない
  • 値段が高い(といっても、精度を考えると破格の安さらしい。WebUI、各種サーバー/クライアントなど使いやすい機能も満載なので、他の受信機とは単純には比較できない)

初回の使い方

  1. アンテナと受信機をつないで、アンテナを空がよく見える場所に置く
  2. PCと受信機をUSBケーブルをつなぐ
  3. Windows用ドライバが入ったドライブがマウントされるので、Windowsで初回の場合はドライバインストール
  4. ブラウザを開いて、192.168.3.1にアクセス

PCとの接続インタフェース

シリアル

表記 内容
COM1~4 シリアル接続。WebUI上の表記は「COM ports
USB1, USB2 仮想シリアル。WebUI上の表記は「USB ports」。Windowsの場合はCOM番号が割り当てられるので、デバイスマネージャーで確認できる。


TCP/IP

デフォルトのIPアドレスは192.168.3.1

ポート 内容
80, 443 HTTP/HTTPS。WebUI用。ブラウザでアクセスできる。WebUI上の表記は「Web」
28784 WebUI上の表記は「Plaintext-command port」、もしくは「IP ports」(たぶん)。SBFストリーム、設定、制御に利用
28783 WebUI上の表記は「Secure-command port」。使ったことがない
21 FTP
22 SFTP, rsync


権限管理

上記画像のとおり、インタフェース毎にデフォルトの権限が決まっている。

表記 内容
none ID/PASS認証しないとアクセス不可
Viewer ID/PASS認証なしで、閲覧のみ(たぶん)
User ID/PASS認証なしで、閲覧、設定可能


メモ

Quality Indicators の読み解き方

こちらに解説がある。
Overallは補助アンテナを除く最低値。
Main RF powerはメインアンテナの入力ゲイン。
RTK post-processingは位置モードがRTKではない場合のみ表示。後処理に適した状態かどうか。
Base measurementsは移動局かつRTKモードの場合のみ表示。基地局の測定値の品質。


トラブルシューティング

PTPサーバーをONにするとWebUIが反応しなくなり、USB接続時の仮想COMポートも一定時間で落ちる

ファーム4.15.0で確認。PTPサーバーを使うための何かが足りていない?
対処アンテナを抜いたまま受信機をPCに接続すると復旧する。仮想COMポートも一定時間は使えるため、コマンドの受け渡しはできる。


WebUIでユーザーの追加ができない

ファーム4.15.0で確認。操作ミス?何か制約がある?
ファームウェアバージョンアップしたときに、デフォルト権限が変わった&ユーザー登録に失敗したので焦った。WebUIがダメでも、RxControlでUSB1などのインタフェースを使えば設定できる。


用語

用語 内容
mosaic-CLAS モジュールの名前
mosaic-go CLAS mosaic-CLASを搭載した評価キットの名前
Septentrio mosaic-go CLASのメーカー。Wikipediaによるとハイエンドのマルチ周波数GNSS受信機の設計・製造会社。
GNSS 衛星測位システム。GPSやみちびきを含む。
IMU 慣性測定ユニット。mosaic-go CLASには搭載されてない。
INS 慣性航法システム。IMUとGNSSの情報を統合したデバイスmosaic-go CLASは該当しない。
NTRIP インターネット経由でGNSS補正データを配信するための通信プロトコル。主にRTK測位で利用。自分で基地局を立てて配信することもできる。
SBF Septentrio Binary Formatの略。セプテントリオ独自フォーマット
QZSS みちびきの英語名
みちびき 日本の準天頂衛星システム
DGNSS測位 測位方法の一種。数m誤差
RTK測位 測位方法の一種。数cm誤差。別の基地局から補正データが必要。補正データは NTRIP などで入手。
CLAS センチメートル級測位補強サービス。PPP-RTK方式。数cm誤差。シーラス。日本国内のみ利用可能。QZSS(みちびき)から補正データを直接受信する。RTK測位より、最初の位置が決まるまでに時間がかかる(1分程度らしい)
SBAS Wikipediaによると、GNSSに対し、静止衛星の補正信号を追加することにより、その精度や信頼性を向上させることを目的としたシステム。エスバス
OSNMA Galileoが提供する航法メッセージ認証サービス
RxTools セプテントリオの自社受信機向けGUIアプリ。様々なインタフェースで受信機と接続できる。


Windowsの場合の下回り確認

バイスマネージャーで仮想シリアルを確認

ネットワークインタフェースを確認

> ipconfig
省略
イーサネット アダプター イーサネット 5:

   接続固有の DNS サフィックス . . . . .: local
   リンクローカル IPv6 アドレス. . . . .: fe80::cfb5:b051:df7d:70db%57
   IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.3.214
   サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
   デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .:
省略


Ubuntuの場合の下回り確認

バイスを確認

$ sudo lsusb
省略
Bus 001 Device 016: ID 152a:85c0 Thesycon Systemsoftware & Consulting GmbH Septentrio USB Device
省略


ネットワークインタフェースを確認

$ ip addr show
省略
7: enx1a320XXXXXXX: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UNKNOWN group default qlen 1000
    link/ether 1a:32:02:XX:XX:XX brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 192.168.3.214/24 brd 192.168.3.255 scope global dynamic noprefixroute enx1a3202991545
       valid_lft 30161sec preferred_lft 30161sec
    inet6 fe80::88d2:2125:837:637b/64 scope link noprefixroute
       valid_lft forever preferred_lft forever
省略


仮想シリアルを確認

$ ls /dev/serial/by-id -1
usb-Septentrio_Septentrio_USB_Device_36XXXXX-if02
usb-Septentrio_Septentrio_USB_Device_36XXXXX-if04


リンク

mosaic-go CLAS評価キット 公式
公式YouTube動画
トラ技:mosaic-go GNSS受信機評価キット mosaic-CLAS版
ロボティクスにおけるGNSS失敗学
壱-準備(septentrio mosaic-x5)トラ技3周波RTKスタータ・キット[高速高精度タイプ]を使ってみる( 格安3周波受信機)
機種は違うけど、図や写真が豊富でわかりやすい
AsteRx-U3 User Manual
別機種になるけど、WebUIの操作方法はユーザーマニュアルが担当らしい。まだ、チラッとしか読んでない。


下記の本にも詳しい内容が載っている。

www.sato-susumu.com