読書メモ:片付けの解剖図鑑

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片づけの解剖図鑑

片づけの解剖図鑑

この本の内容は他の「片付け本」とは全く視点が違う。片付け以前の問題、「家はどのように作れば散らかりにくいか」という住宅設計に関する内容。どんな家具を選択すべきか、どこに配置するべきかについても書かれている。

絵も文章もユーモアに溢れてて読みやすい。

自分が引越しするときには収納量は気にするが、この本のような視点で家を考えたことがなかった。家具を買う前や、家を買う時、引越しするときにまた読み直したい。

  • テレビや家具を置くには、床だけでなく、壁が必要
  • 壁の面積が小さくなると、ちょっとした棚を置こうにも最適な場所が見つからない
  • 収納という機能に限っていえば、窓は大きければ大きいほどたよりにならない

テーブル

  • テーブルの上はモノが溜まりやすいが、モノの置き場所が決まっていないことも原因
  • テーブルの上の混乱は収納設計の成否のバロメータ

浴室

  • 南側に配置した浴室はパラダイス。説明を見てもパラダイスで羨ましい
  • 南側は人間にとって快適なので、リビングとの争奪戦
  • 浴室かリビングを2階にあげてみるという発想

家は少し小さめがいい

  • 図面上の数字を信用し過ぎない。数字の8畳と体感の8畳は同じとは限らない。要因の一つは視線の抜けぐあい
  • P.71の絵を見ていると住宅設計の効果がわかる

衣類

  • 「タンス買う」その決断が命取り。タンスを買う前にもう一度読みたい
  • 衣類の収納に必要な寸法は1人あたり1.8m(両手を広げた幅)。4人なら7.2m
  • 衣類部屋(ウォークインクローゼット)があれば天井まで使える使い切れる
  • ウォークスルークローゼットいいな

ソファ

  • ソファでくつろぐには、ソファの周りに空きスペースが必要
  • 大きなソファはよく考える必要がある。小さなソファの方が機能的。一人掛けのソファ2つという手もある。

明かり

  • 部屋の真ん中に明かりが一つ = 「一室一灯照明」。一室一灯は片付け過ぎ
  • 部屋に複数の照明 = 「一室多灯照明」。陰影が豊かで立体感が生まれる。心地よさが増す
  • 明かりは片付け過ぎてはいけない。片付け過ぎると殺風景になりがち
  • 書いてある理想的な照明は、落ち着いたオシャレなお店の照明って気がした(行ったことないけど)

その他

  • 半屋外空間は贅沢の極み(P.64)。でも、羨ましい。
  • 屋根裏収納も床下収納も何をしまったのか忘れがち
  • 床の高さをずらして新たに増やした床面をスキップフロアという方法がある。ただしコスト増。
  • 法律上、ロフトは高さは1.4m未満と定められている。へー
  • キッチンに壁を作って、食品庫(パントリー)にする発想
  • 食材を置く棚は奥が見えなくなるので奥行きを取りすぎない。奥行きは25cm〜36cmが目安
  • 自転車、三輪車、ベビーカーなどの車輪の格納先は忘れがち
  • コンクリート打ちっぱなしは音の反響大。硬くてツルツルしたものはよく音を跳ね返す

あとがき

自分が満足できる図面が出来上がったあとの、クライアントから言われた「あんた料理したことないでしょ」「カッコイイけど、洗濯物どこ干すの?」が面白い。分野は違うが、ソフトウェアでもあるあるな話。毎回オーダーメイドという点や、クライアントの要望がはっきりしてなくて、ヒアリングしながら実現可能な形に落とし込んでいくのも一緒。

ものの分かった設計者は「ヒアリングシート」を用意するが、著者はヒアリングシートを止め、クライアントの声にじっと耳を傾け、本当の要望に肉薄できたという。自分はそろそろヒアリングシートでも用意しようかと考えていただけに、どうしたもんかな。